出雲のものづくり【2】

 「出雲」をテーマに様々な角度から情報を取り上げてみようと思います。1回目の企画は、「ものづくり」をテーマに進めています。改めて「出雲」という場所について、「ものづくり」フィルターで眺めてみようとの想いからの企画です。

 第2回は、手製本・紙の造形「吾郷屋」さんを紹介します。

―製本をはじめたきっかけ

実家が書道教室をしていたので紙がたくさんあったこともあり、小さい頃から絵や字をたくさん描いて、それらを束にするなどして遊んでいました。そのような紙や字が身近な環境で育ったので、自然に「ものづくり」を遊びの中で楽しみながら取り組んでいました。その中で、徐々に自分だけのオリジナルノートが作れるといいなと思い、最終的に表現する形として「製本」になったという感じです。

製本作家としては12年経ちますが、今の仕事で独立したのは2年前なんです。会社員をしながら趣味の延長で作家活動をしていたのですが、展示会や注文数も増えてきて、両立が難しいと感じていました。両立していた時期は定期収入もありましたし、色々と考えましたが、作家活動の中で出会った人たちからも刺激を受け、人生1回なんだから後悔をしないようにと「本当にやりたいことをしよう」と独立を決めました。

―ものづくりへのこだわり

製本に関する今の技術は全て独学です。色々な本を調べて自分なりに解釈し、作ってみるを繰り返しました。とにかく作るんですよ。体が動いてしまうんです(笑)。

昔はノート状のものが多かったのですが、最近はオブジェにも取り組んでいます。そんな中で改めて感じたのが、自分が「ワクワクする」とか「楽しい」などの気持ちがないといいものは作れないし、「ものづくり=生き方」なので、作るもの全てに全力をつぎ込んだものじゃないといけないとは思っています。そうじゃないと意味が無いなと。作品を作るためには妥協はしないし、できない。性格もあるんでしょうね。

―無垢(白紙)の本の魅力

自分のノートは未完成品なので、使って頂いて、その人の一冊ができてはじめて「完成」となります。そこが一番の魅力ですね。僕自身も絵や字を書くことはライフワークになっているのですが、人によっては日記帳・スケジュール帳・サイン帳・エッセイ集などとして使ったり、オブジェとして飾る方もいます。人によって使い方が変化することも面白い部分かも知れません。

最近はスマートメディアの影響で、字や絵を描くことも減っていますよね。そんな中で、字や絵を描き記録として残っていくことは非常に素敵なことだと感じています。僕は人の描いたものを見ることも好きなので、「その人」を感じる字や絵を見たときは嬉しくなってしまうんです。そんな感情に訴える力が字や絵にはあると思います。それを残しておく「本」や「ノート」はとても魅力的なものだと思っています。

―出雲について

地元すぎて気づかないことが多いですね。県外から来れた観光客の方に教えてもらうこともありますし(笑)。あまりにも身近な場所なので、客観的に見れない部分が多いかもしれません。

出雲も今は、一部地域が観光地として活性化しているわけですが、無理に活性化するためにモノやコトを作るのは少し違うんじゃないかなと感じています。僕としては、自分も含め地域の人が本当にやりたいことを自然な形で進めていくことがいいのではないかと考えています。本当にやりたいことであれば継続もしますし、その結果として活性化すればいいなとは思いますね。

―これからについて

作りたいものが山のようにあります(笑)。どんどんアイデアやイメージが浮かんでくる。なので、とにかく手を動かして作りたい。それにオーダーをいただくことも多くなり、時間がたりないというのが正直なところです。

今年1月に大社神門通りのギャラリーで新作の個展を開いたのですが、新しい作品を発表する機会は定期的につくっていきたいですね。それと発表の場を広げたいです。今年の3月には広島で個展を開かれる方に誘っていただき、僕の作品も出展させていただきました。今は島根が中心ですが県外にもアピールしていきたいです。

SNSの影響もあり、海外からも反応があります。紙を使った細かな細工をした作品などは、興味をもってもらえているようで嬉しいですね。今後は外に向かって積極的にアプローチしていきたいと思っています。

手製本・紙の造形「吾郷屋」

島根県出雲市平田町721

営業時間 13:00~19:00

定休日 火曜日・水曜日

電 話 050-5207-6900

フェイスブック

mail : notebookagouya@gmail.com

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