出雲のものづくり【6】

「出雲」を「ものづくり」フィルターで眺めてみようとの想いからの企画です。第6回は、「陶胎漆器」岩佐 昌昭さんを紹介します。

―はじめたきっかけ

陶芸をはじめる前は、東京で服飾関係の仕事に従事していました。20代前半の頃ですね。ファッションに興味があって携わっていましたが、表面上のスタイル提案ばかりで服飾の仕事に少し疑問を持つようになっていたんです。元々ものづくりが好きでしたので、あるものを提案するのではなく、自分でものを作り出す仕事をしたいと思うようになりました。

最初は刀を作る鍛冶職人を目指していたんですよ。 その鍛冶職人を調べる中で、岡山県の備前長船刀という有名な刀鍛冶の情報を見ていた時に、同じ岡山県内の備前焼を見つけたんです。興味本位で調べていくうちに、その備前焼の中村六郎さんという有名な方が作られた徳利を見て感激しまして…。刀鍛冶を目指して色々と調べていたんですが、最終的には「備前焼」という陶芸にたどり着きました。たどり着いたと言っても自分に陶芸が出来るのかという部分は未知数でしたので、向き不向きを検証する意味も含め、仕事をしながら都内の陶芸教室に通うことにしたんです。実際に陶芸に触れてみての感触が良かったこともあり、一念発起して服飾の仕事を辞め、岡山県備前市に移住し、備前陶芸センターで修行をすることにしました。その後は市内の山麓窯に入り、陶芸を仕事にすることができました。

―ものづくりへのこだわりと作品の魅力

作品づくりにはテーマがありまして…それは「感情を揺さぶる」というものなんです。特に「悲しさ」や「寂しさ」のような感覚を抱いていただけるような作品づくりを目指しています。自分自身がそういった雰囲気のものが好きなんですよ。それと古いもの、骨董なども好きなんです。古いものって時間が経っているので、色んな経験をしているわけです。ご年配の方々も同様です。楽しいことばかりではなく、辛く悲しい思いもしていますよね。様々な経験を経てこそ滲みでるものがあると思っています。それらの時間・経験で形成される雰囲気に惹かれるし、自分の作品にも反映したいと思っています。どの部分に哀愁や悲しさがあって…といったものではなく、作品全体で醸し出すのが理想的ですね。そういった全体の雰囲気・イメージを作品から感じていただけると嬉しいですね。

―出雲について

私は愛媛県出身ですので、Iターンという形で出雲に住んでいます。最初の印象は全体的にグレーな感じを受けました。それは曇天模様の天候の影響もあったかと思います。ですが、自分の作品づくりには良い環境だと思いました。どこかノスタルジックな感じといいますか…自分としてはプラス要素でしたね。

人付き合いはそれなにり大変でしたが、それはどこに居ても同じですからね(笑)。今はすっかり馴染んでいますよ。

私の勝手なイメージですが、出雲の方々は組織立って動くことが多いなと感じています。それはとても大切なことなのですが、逆を言えば個人の動きが鈍いとも言えます。特に若年層の方は失敗してもいいので、自分なりの方法で活動してみてもいいんじゃないでしょうか。そういった動きが活発になれば全体の底上げにもつながり、もっと出雲が活性化すると思いますよ。

―これからについて

今以上に個展を展開していきたいですね。全国に向けてアピールできればと考えています。

作品についても、器のようなものばかりではなく、アートピースといいますか…時間や空間を演出するようなものを作っていきたいと思っています。ギャラリーもできましたので、この場所も有効活用してきたいですね。

岩佐 昌昭

島根県出雲市西郷町223

インスタグラム

masaaki.iwasa.1833@gmail.com


【陶歴】

昭和54年 愛媛県八幡浜市に生まれる

平成16年 備前陶芸センターを修了、備前市の山麓窯に入社

平成19年 信楽の陶芸家小川顕三氏に師事

平成25年 出雲市にて独立

平成28年 第三十三回田部美術館大賞 茶の湯の造形展入選

平成31年 第十二回現代茶陶展「TOKI織部奨励賞」受賞、第三十六回田部美術館大賞、茶の湯の造形展「奨励賞」受賞

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